FTM オーストラリアから帰国 なおたろう

生まれたときは女の子現在男の子として生きてます。帰国しました。

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人生は平等ではないけど人生の価値は対等

先日ベンジャミンバトンという映画を見た。
物語のストーリーはある一人の男の子が第一次世界大戦終戦日に生まれる。その男の子がベンジャミン、老人で生まれて歳を取るにつれて子供に戻っていくストーリーだ。
そして、最後は赤ん坊になって死んでいく。
老人から生まれ子供で死んでも、子供で生まれ老人になって死んでも同じことは生まれたときから徐々にできることが増えていき、歳を取るにつれてできないことが増えていく。姿が違うだけで死ぬまでの過程はほぼ同じだ。
この映画はベンジャミンの人生を振り返りながら進んでいくが、ベンジャミンと関わる人の人生の流れも描かれている。
これは前置きとして、この世に存在するすべての人には映画にできるような壮大な人生物語がある。一人一人全く違う物語で出会う人や考え方、取ってきた行動すべてがまるで違う。それってめちゃくちゃ素敵なことじゃないかと思う。

女の子で生まれて、自分の性別に違和感をもち23歳の時性別を変えた僕は、28年間の人生の中で『なぜ人間はいきるのか』という問題の答えがいくら考えても出てこなかった。『人はなぜ生きるのか』哲学的な疑問だし数学のようにはっきりとした答えはない。100人いれば100通りの答えがあるだろう。

どうしても納得のいく答えを見つけられずにいたけど最近Youtubeでみた動画でなるほどなと思う答えがあった。「動物や虫には生きる意味なんてない、偶然生まれて偶然死んでいく。なのになぜ人間には生きる意味があるとおもうのか?」

確かに、今まで人間には生きる意味があるものだと自分で勝手に決めつけていたなあと思った。人間だけ特別なわけじゃない。虫や動物と同じように人間にも生きる意味なんてない。だから、偶然死ぬその日が来るまでは自分の好きなことして、やりたくないことは極力避けて気楽にいきていけばいいんじゃね?って気づいちゃった。

もちろん正解は一つではないが、このように考えることで人生を楽に生きれるのではないかと思う。こう考えることで今の僕に悩みは一つもない。以前はいろんなことを考えすぎて眠れなかったが今は楽観的に物事を考えられるようになったので毎日10時間眠れている。

そしてもう一つ

今、悩んでること、絶体絶命の危機があったとしても死ぬ前には「ああ、あんなこともあったっけ」と懐かしく思うのだろう。
僕の友人にとても面白い人生を歩んできた者がいる。とにかく変人なクズ野郎だ。そんなクズな友人とはオーストラリアで出会った。彼にオーストラリアでどんなふうに生活してきたのか聞いてみたらかなり面白かったのでシェアする。これを読めば自分がいかに真面目すぎるか気づくだろう。ちょっとぐらい羽目を外しても人生を振り返った時には笑い話になるだろうから。

2019年10月彼はワーキングホリデービザを使ってオーストラリアに来た。仮に彼の名をクズとする。
理由は単純で本場の海でサーフィンがしたかったから。

最初の目的地はゴールドコースト
所持金は親に貰った40万。それで1か月仕事もせずサーフィンを楽しんだ。
そして、放浪がしたいという理由でゴールドコーストをでてバイロンベイに向かう。

ゴールドコーストからバイロンベイまでは約100キロ
日本でいう大阪から兵庫県の距離です。

  • 参考までに写真を貼っておきます。

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最初は歩いて行こうとして初日5キロしか進めず2日目5キロしか進めず3日目にはあきらめて結局ヒッチハイクで目的地まで移動しました。
そしてバイロンベイから618キロ離れたニューキャッスルという町までヒッチハイクして日本食レストランで4か月働きます。
そこでレストランのボスの家にベビーシッターもやるという条件で住んでいましたが新しいベビーシッターを入れたためお店の2階に引っ越しするようボスから言われます。しかしながら、新しいベビーシッターよりクズの方がベビーの調子が良かったようで、もう一度ベビーシッターをやるようにいわれぶち切れボスと喧嘩。

クズは追い出されます。
仕事をクビになったクズはニートのままサーフィンをしては酒のみの生活を繰り返し、サーフィン酒飲みニートになりました。
サーフィン酒飲みニートは所持金が15万になったところで仕事をする為ファーム(農家)に移動します。
そこではホステルといわれる、激安宿でくらします。

いわゆるバックパッカーホテルです。
ある日ホステルでタバコを拾います。そのまま迷うことなくパクります。ホステルに住む友達からタバコが落ちてなかったか聞かれるも落ちてないと答えそいつと揉めます。
何を言われてもパクってないと言い張り、その当時好きだった女の子はクズの味方をしてくれました。その女の子にも嘘をつきパクってないと言い張りゲボがでそうでした。
そして無事セカンドビザを取得。ワーホリビザではファーム(農家)で3か月働くと

もう一年間ビザを延長することができます。
ビザ所得後は最低限の生活をしながら2か月おきに4か所移動しました。
移動するお金はなくヒッチハイクをしました。
その時の気持ちは「自分がイカレであることは自覚していたが同時に満足もしていた」そうです。
ヒッチハイクが捕まらないときはバスも使っていたが、その日最後のバスを目の前でのがし、ホステルにも行けず、マクドナルドで寝ることに。
余談だが、オーストラリアのバスは手を上げないと止まってはくれない。そのことを知らなかったクズは普通にスルーされた。
そしてその夜はマクドナルドで寝る。朝起きたらサプライズ20ドルがカバンの中に!
誰かがホームレスと勘違いしてくれたのだろう。クズは喜んだ。
移動中お金がないときはテント生活をしていた。
ある夜、泊まる場所もない、ハングリージャックスというハンバーガーチェーン店で泊まろうと思ったら、24時間ではなく店を閉めるから出ていくよう言われる。お金がないことを店員に言うとハンバーガーを奢って貰える。その夜は公園でテントをはり寝たそうです。
朝起きたら、ハンバーガーを奢ってくれた兄ちゃんが偶然通りかかり目的地までおくってもらえる。

オーストラリアにきて1年がたち日本に一時帰国する。
オーストラリアにもう1回行きたかったのでセカンドビザの申請をするがうまくいかず、アルコール再発し1か月アルコールニートとして暮らす。その後オーストラリアに戻るお金がなかったため2か月本気で働き50万貯める。
オーストラリアに戻った後、1ヶ月はまたアルコールニートになる。そこからコロナが世界中に広まり仕事が見つからずスタンソープという田舎町に移動。農家で働く。
ある日友人の車を飲酒運転する。
警察に捕まり、裁判所にいくように命じられるも英語がわからず返される。
後日再裁判を行い、罰金10万、1か月免停となる。

その後2か月アルコールニートをはさみ、その最中、無断でキャンプ場に車を駐車。

お金はあったが払わず追い出される。
その後3年目のビザを取得するためいちごファームに移動。
ここで僕はクズと仲良くなります。
イチゴファームのボスには7日間働くといって始めたが最初から7日間働く気はなく毎週仮病で休む。
その後お金はないが車がほしくなり激安1600ドル(日本円で約13万6000円)の車を購入し3か月で車つぶれる。

その後イチゴのシーズンが終わった為バイロンベイに移動しブルーベリーファームで働くがさぼりまくり休みの日に遊びに行ったコフスハーバーという町で仕事を見つけ、連絡もせず飛ぶ。
新しい仕事をしていた時、マクドナルドの駐車場で知らない人の車に当て逃げ。後日の職質で警察にばれて罰金を払うことに。(クズは日本人で英語はあまり得意ではありません。)
相手の保険屋から電話が来たが修理費が高すぎるという理由で交渉し値引きに成功。値引きに成功したがいまだに連絡こず放置している。(むしろ好都合)

フスハーバーに住んでいた時の大家さんの好意に甘えサーフボードを置きっぱなしにしてタスマニアに移動。
当初3か月で取りに戻る予定だったが7か月たったいまも連絡せず取りに帰る気はさらさらない。

※ちなみにコフスハーバーからタスマニアまでの距離は1962キロ。

ノンストップで移動しても2日はかかります。

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タスマニアには3か月滞在し、真面目に働いたが酒とたばこにお金が飛び大して貯金できず、そのまま飛行機でヌーサという町に移動。

(僕とクズはタスマニアでも一緒に暮らしていました。)

 

タスマニアからヌーサまでは2369キロで彼は飛行機で飛び立っていきました。

空港まで見送りにいき、彼と過ごした3か月間を振り返り涙が出そうでしたが出ませんでした。

 

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※クズの後ろ姿です。

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ヌーサではフレンチレストランで3か月働く。(料理の腕前はピカいちです。)
ピザの裏面を焦がし同僚に英語で罵声を浴びせられるがほとんど何をいっているか理解できず。
また、レストランで肉を切る際わざと肉を切り間違えこっそり家に持ち帰る。その後仕事がつまらなくなり辞める。やめた足でカジノに行く。そして、1か月4回カジノに行き合計30万負ける。
残り所持金10万でニート生活継続。2週間後には所持金残り1万になる。
仕事を見つけるもお金がないため給料を日払いでもらえるように頼む。
現在ホステルに宿泊、家賃払える見込みない。
そのタイミングでロックダウンになり働けなくなる。クズ人生最大のピンチ。
クズは基本的に敷金礼金は払えないためホステルに宿泊。
100人部屋1日15ドル(日本円で約1300円)
現在1300円の家賃も払えないためギリギリ生活始まる。
バスに乗るお金(3ドル)もないため履歴書をコピーするために2時間往復で歩く。
タバコが買えないため落ちているタバコを拾う。もしくは通行人にせびる。

地元ホームレス区域ではタバコの葉っぱだけがぬかれており腹が立つ。

 

ここまで記事を書き確認のためクズにラインを送ったら情報がアップデートされました。

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ボスのご厚意でロックダウン中にも関わらず働かせてもらいお金をもらう。

ボスにはお酒はもうやめろと言われるがその足でお酒を買いに行く。

ちなみにホステルにはお金が払えないと言って正々堂々滞在中。

6000千円の内、5000円はお酒、1000円で10日ぶりの洗濯をする。

意外と綺麗好きのようだ。。。。。。。。。to be continued

 

楽しんで頂けただろうか。彼はクズだが一緒にいると退屈することがなく話もおもしろい。彼の人生をもっともっと見て見たくなってしまう。麻薬のような人生だ。

僕は彼のように自分のやりたいことだけをして生きている日本人を見たことがない。働きたくないから働かず、ギリギリ生活をする。一般的に言うとクズだ。クズは探せばいくらでもいるだろうが真面目に生きてきた僕とは出会う機会がなかっただけかもしれない。もちろん自分の好きなことだけをして生きていても幸せになれるわけではない。実際彼が今、幸せなのかどうかもわからない。だが、将来彼が日本に帰国しこの話を一緒にしたときは一緒に大笑いできることは確実だ。

どんな人生を歩んできても人間の価値、人生観は対等である。彼の人生も僕の人生もあなたの人生もどれもオリジナルな物語で、特別なのだ。全く同じ人生なんてこの世にひとつもない。だから人生はおもしろいんだろう。